ノーブルホームカップ第26回関東学童秋季大会。1回戦の第3試合は、2015年に初優勝している神奈川・平戸イーグルスが完勝した。今夏の全国8強入りメンバーのうち、レギュラー2人が新チームにいる中で、無印の4年生が存在感を発揮。写真ダイジェストとヒーローをお届けしよう。
※記録は編集部、学年未表記は5年生
(取材&文=大久保克哉)
■1回戦/第3試合
守りで明暗、平戸が完勝で発進
◇11月23日 ◇茨城・水戸
加茂川ワイルドダックス(埼玉)
010000=1
03101 X=5
平戸イーグルス(神奈川)
【加】大野、小林-上野
【平】沼崎、富田-小林琉
二塁打/高田、高津、川原田(平)
【評】先制、中押し、ダメ押しと、平戸が理想的な試合運びで完勝した。初回は先攻の加茂川が一死二、三塁、後攻の平戸は二死三塁と、それぞれ好機も無得点。以降は守備で明暗を分けた。平戸は2回裏、敵失と高津陸の左中間二塁打で先制すると、続く小林琉珈のバント安打で無死一、三塁に。加茂川の左腕・大野岳はここから二死を奪うも、平戸の一番・川原田漣が中越え二塁打で3対0に。直後の3回表、加茂川は2四球から四番・政理仁と五番・田壷峻太郎の連続テキサス安打で1点を返すも、併殺で追加点ならず。平戸は5回、三番・高田幸太郎(4年)と四番・佐々木一太の連打でダメを押した。投げては3回途中から救援した富田涼太主将が、バックの2併殺にも助けられて無安打の快投。加茂川は守備と走塁のミスが響いた中で、3盗塁や4年生・蓜島湊斗の粘り強い打撃が目を引いた。
先発した平戸の沼崎永嗣(上)、加茂川の大野(下)。ともに球速は80km台でも、身体を使って腕が振られていた2回裏、平戸は無死二塁から六番・高津が先制二塁打(上)。続く小林琉がバント安打(下)と二盗でなお、無死二、三塁に
失策に始まり、先制を許してなお続く2回のピンチで加茂川・小竹則晃監督がタイム(上)。しかし、平戸の一番・川原田が中越え二塁打(下)で3対0に
加茂川は3回表、2四球に政(上)と田壷(下)の連打で1点を返す
平戸は3回表、一死一、二塁で中村大伸監督が投手交代を告げてマウンドへ(上)。救援した富田主将(下)が1失点で切り抜けると、後半3イニングを無安打無失点に封じた
5回裏、平戸は中前打から二盗の高田が、続く佐々木(上)の左前打で生還する(下)
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あっぱれ4年生!ここにも
たかだ・こうたろう
高田幸太郎
[平戸4年/二塁手兼三塁手]
1回戦は試合と試合の間隔が短く、残念ながら本人のコメントが取れず。それでも元オリンピアンの中村大伸監督は、このように評している。
「あの子からは何か、生まれ持った感性みたいなものを感じます」
下級生の活躍も目立った今大会にあって、高田幸太郎には“スーパー4年生”の称号も与えていいだろう。今夏の全国でベスト8に進出したのは5・6年生の23人で、4年生は誰もベンチ入りしていない。
だが、5年生が14人いる新チームで、高田は打線の三番を任されて関東大会に登場した。そして1回裏の第1打席で、左打席から右中間へ二塁打を放つ。
力みとムダのない待球姿勢から、バットヘッドを走らせる打撃スキルは、相当なもの。さらに光ったのは走塁だ。塁に出ると、投球コースも常に見ながらの第2リードが沁みついているよう。二塁打の後の2球目、遅球のワンバウンドを見越してのスタートで三塁を陥れてみせた。
5回の第3打席では、2安打目の中前打(=下写真)から二盗。そして次打者の左前打1本で本塁に生還と、走るスピードも走路もバッチリだ。投手交代に伴って、二塁から三塁へと守るポジションを代えると、終盤にエラーもあったが、経験豊富な遊撃手・横地樹ら5年生たちがしっかりと守って傷口をふさいでくれた。
翌日の準々決勝は最後まで無失策で三塁を守り抜き、打っては右へ左へ快音を発した。チームは敗れて「課題山積」と指揮官は話したが、“スーパー4年生”の存在が全体の底上げにも寄与していくことだろう。